2022年1月号のメニュー 1 『CICOUTEのA to Z』第14回 N 北村千里(CICOUTE BAKERY・チクテベーカリー) 2 『有機ダイアリー』第9回「収穫と神事、伝統と文化」 東博己(ろのわ) 3 『大将の気づき』第19回 黒木直人(饗くろ㐂) 4 『武蔵野スローフード宣言!』第45回 岩澤正和(ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ オーナー) 5 『nichinichi川島の上手いこと言っちゃって♡』第28回 川島善行 6 『表紙の話』第18回「農事組合法人下里ゆうき」 *記事内容は、2022年1月時点のものです。 ------------------------------------------------------------------ CICOUTE BAKERY 北村千里 『CICOUTEのA to Z』 AからZまで愛おしいパンたちを語る連載 第14回 N 「chocolat N! Nと言ったら…まぼろしになったこれでもかのチョコ」
●穂発芽した小麦のためのチョコパン 2022年もはじまりましたね。 今年も新年早々、またまたN N N… Nと言ったら、、そうだ、ショコラ N! あれは2016年の北海道の小麦の多くが発芽してしまったり、収穫量も激減してしまった年でした。(同じ年に発芽カンパーニュを焼き始めました。→Cのcampagneのお話) 中川農場中川さんの発芽してしまったキタノカオリをパンにできないか、しかも次なるはお食事パンではなく甘いパンで。大人も子どもも夢中になるよなパン…そんなことを考えて生まれたのはその名も「chocolat N」 発芽によって歯切れもよく麦芽のような香ばしさと甘さ。 その当時なんとなくInstagramなどで目にした真っ黒でみちみちつやつやでジューシーなチョコのパンを作ってみたくなりました。 いろいろやってみたかったころでした。 ●発芽小麦のよいところをパンにできた 北海道十勝の方の「パン」と言えば、農作業の合間におやつに食べるもの、ふわふわやわらかくて甘いパン。なんだそう。 じつはそれの前にも発芽小麦でミニ食パンやドッグパンなどなど、バターや牛乳で仕込んだパンも作ってみたのですが、なんとなく発芽小麦の美味しさを活かせていないような出来上がりでした。 カカオ分の高いカカオパウダーと、オーガニックのクーベルチュールを2種、それで仕込んだガナッシュクリームも生地に練り込んで、オーガニックのオレンジピールとレモンピールとノンワックスのグリーンレーズンを具材にした「ショコラ N」はチクテ史上とってもリッチなパンでした。 麦芽の香りにビターなチョコ。サクサクの食感に濃厚な生地の美味しさで、発芽した小麦の良いところをパンにできたような気がしました。 発芽ゆえ、生地の儚さは生地冷蔵でゆっくりじっくりと発酵熟成。 成形から焼成までは僅かの時間でサクサクと香ばしく焼き上げる、そんなイメージ。 中川さんにもこんなパン作りました!とご連絡したところ 「いっぱい送ってください!」と言ってくださったので、うきうきしてそれこそ本当にいっぱい送りました。袋詰めして10個以上送ったような記憶です。 さすがに多すぎたようでした。 濃厚なチョコパンはそんなにもひとりで一度には食べれないですよね。 ●このパンで翌年もがんばってほしい 沢山の日本中のパン職人さんから届くカンパーニュやいわゆる硬派なパンたちも美味しいと言って食べられてる中川さんですが、 やっぱり北海道十勝の農作業の合間に食べるような甘いパンをお届けしたかったのでした。 なによりも発芽した小麦でもこんなに美味しいパンになりますよ!とお伝えしたかった。 あと、ちょっとだけこのパンで次の年も頑張る気、みたいなのをお届けしたかったのです。 その時に中川さんよりいただいたお言葉が 「これでもかのチョコ」 でした。 (私が先に言ったのかも。記憶とは曖昧なものです。) 中川さんの発芽小麦の終了と、暑い夏、チョコの需要が減ったタイミングでショコラ Nは終了となりました。 それ以降は一度も作ることはありませんでした。
その小麦のためにだけ作るパンがあってもいいのかなと思います。 その味も、その時のいろいろも、すべてがその年だけのもの。 ちなみに、ショコラ NのNは言わずもがな中川さんのNです。 イメージはちょっと怪しげな怪盗Nみたいな。一瞬ふわっとやって来て、次の瞬間には姿が無い。怪盗ルパン?みたいな? そんなことを想像してなんとなくニヤニヤしていたパン屋なのでした。 パン作りはやっぱりたのしいのです。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 ------------------------------------------------------------------ ろのわ・東博己 『有機ダイアリー』 第9回「収穫と神事、伝統と文化」
●収穫とは人間が生きることそのもの Lonowa の拠点は熊本市の北東部に位置する菊池市旭志にありますが、この辺りは農業が主な産業の地域となっていて農業集落特有の風習が残っています。 この地域に限らず、昔は日本全国どこにもあったのですが、農業が衰退している所からその風習も無くなってきています。ただ、どんなに農業が衰退してもそれらの神事を大切に伝統文化として行っているのが我が国、日本の皇室です。 農業は生きて行くために不可欠なもの、人間が生きて行く行為が収穫そのものであり、それゆえにとても大事なものとして作物の収穫を神に祈ってきたのです。 しかし、それが時代と共に物質的に豊かになって農業以外の産業が発展して行くにつれ収穫という行為が生きるために直結していることが見えなくなり、神にまで祈って得るものではないようにあつかわれてきています。もっとわかりやすく言えば、人々の暮らしと表現していたことが、人々の生活という表現に変わってきたことです。 ●伝統行事は農業と密接な関係がある いつの時代でも食べることでこの身をたもつことに変わりがないので個人的にはそんな風習を大事にしたいと思っているのですが、この地域でも今では形だけ伝えられていることがほとんどで、形と意味がセットで伝えられていません。 例えば、1月は「御願立て」という神事を行っています。その年の五穀豊穣と無病息災を願って氏神様に御参りします。そのあと火を焚いて(どんどや[どんど焼き])、その火で焼いた餅を食べると一年間健康でいられるといういわれがあります。 それからは八朔の節句、これは8回目の「朔」(新月のこと。満月は「望」)、つまり8回目の新月の日に更に祈願してお参りをして、秋に収穫祭を迎え、お礼の御参りをするのです。 だから本来神事は、暦のうえで行う日が決まっているのですが、この地区でも会社勤めの人が増えて本来の決まった日に行うことができずに日曜日(休日)に行うようになってきたのです。 収穫には関係ありませんが、身近なところでは七五三もそうです。本来は11月15日にお参りする行事ですが、その前後の日曜日に行うのが当たり前になっています。時代の流れで仕方ないことですが、そうなってはじめて、その行為の大切さを感じてさみしくなるのは私だけなのでしょうか。 ------------------------------------------------------------------ 饗くろ㐂・黒木直人 「大将の気づき」 第19回「紫くろ喜 vol.3」
前回お話しましたが、紫くろ喜では4種類の専用の麺を打っていました。 焙焼ふすまを使った細麺 加水46%の幅広手揉み麺 加水26%の低加水細麺 ごぼうを練り込んだごぼう麺 前回はごぼう麺のお話だったので今回は加水26%の低加水細麺のお話をさせていただきます。 紫くろ喜は鴨を使った醤油らーめんの店。 メニューは ・鴨そば 細麺 ・鴨そば 手揉み麺 ・鴨つけそば 低加水細麺 ・鴨白湯つけそば ごぼう麺 ・ねぎ飯 ・鴨ねぎ飯 当時つけ麺と言ったら加水が多いモチモチした太麺が流行っていました。 紫くろ喜では、つけ麺は鴨出汁の醤油の香りがインパクトのあるつけ汁で提供しよう!と思っていたので、その醤油のインパクトを、より強く表現してくれる麺を作ろうと考えました。 今では内麦のみで製麺していますが、当時は外麦も使っていたので、とにかく蛋白、灰分が多いものを探して、日清製粉さんのレジャンデールという粉を使いました。 そして当時流行っていた多加水の太麺に反して、細麺で行こう!と決めました。 醤油の香りをより一層美味しくしてくれる麺を作ろうと… 日本そばをイメージして、でもあのしなやかな麺ではなく、脂のある漬け汁をまとっても、それに支配されない強い麺! 食べた時にポキポキとした歯応えで、喉越しを味わうというより、咀嚼した時に、小麦の香りと醤油の香りが口の中で合わさって、口内調理でより一層美味しくなる麺。 それらを思ってレジャンデールを使った低加水の麺が生まれました。 ●はじめて打った低加水麺にびっくり でも当時低加水の麺を打ったことがなかったので、最初の水回しをした後の粉を触ってビックリ! サラサラの粉状態… これ、製麺できるの? 実際最初に打った麺はロールに通して巻き取る時にポロポロ崩れてしまい、とても麺に出来る状態ではありませんでした。 製麺は加水によって打ち方も変わるということを、初めてこの時教わりましたf^_^; 水回しした後のロールがけは普段の半分の薄さで行わないと、麺帯にならずボロボロ崩れてしまう。 ロールの回転速度も、普段より遅くした方が低加水の麺は綺麗に打てるなど。 しかし仕事に関してはドMなので、そういう時は辛いというよりは楽しいと思ってしまうので、打ち上がった麺と漬け汁を合わせた時、この麺にして良かった!と今でもあの時の感動は忘れません。 あれから何十種類の麺を打っていますが、らーめんはスープや具材を作るより、麺を打つのが1番楽しいと思い、麺だけは誰にもやらせない黒木でした。
------------------------------------------------------------------ 武蔵野スローフード宣言! by 岩澤正和(ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ オーナー) 第45回 「ブルネロ・クチネリが参考になる」 ●ロマンチックな物語が地方を再生させる イタリア人の楽観的なまでに人生を楽しんでい感性を羨ましいと感じながらもそこに何かしらの未来を見出すのは難しかった 数十年日本より早く衰退成熟社会に入ったイタリアではいま先にある新しい幸せの風景を描き始めているのです 自由奔放の人たちは責任をもって自立するのも早い ロマンティックな物語が、人を、街を、再生させるとしたらすばらしくないですか? コロナ禍でリスクを回避することでストレスを抱えまくって人任せの世の中で イタリアの一つの企業が自分の中でもコロナ禍のバイブルになっていて 知ってもらえればたくさんの地方で役に立てる フィレンツェからクルマで約2時間 田園地帯のなかにブルネロ・クチネリという会社があります ご存知の方もいるかと思いますが表参道にもお店のあるアパレルショップです 小麦業界でも参考になる取り組みのはず 今日本全国地方創生はだれもの課題 500人しかいない村のお城を改装して学校を作り勉強し給料がもらえ農地を利用して ワイナリーをつくったり循環システムを完成させた 行政の主導ではなく民間の一企業の情熱と理想により遂行されてきた点 ここでは“速さ”ではなく“ゆっくり”を “所有”ではなく“共有”を大切にする姿勢を知ることができる そしてブルネロ・クチネリが文化的生産的活動の種を撒き 住民が自立的かつ持続的に運営できるような余白を残しておいたことで じょじょにその芽が出始めている この会社の取り組みは参考になる 細かい説明はここでは難しいが今日本世界が抱えている問題の解決策の一つになる 未来の町おこしを背負っている方々がこのコラムを見ているはず 楽観的な考え方の自由な国イタリアの 責任もって自立している取り組みをぜひ知ってもらいたいなと 結構勇気がでます
ブルネロクチネリ – Bing
Bing のインテリジェント検索機能により、探しているものをより簡単にすばやく見つけられるようになり、リワードも得られます。
------------------------------------------------------------------ 「nichinichi川島の上手いこと言っちゃって♡」第28回 by 川島善行 「中華まん」 皆様あけましておめでとうございます! 本年もよろしくお願いいたします! この前、ふと思い立って昆虫博物館に行こうと思い、某中華街でお昼を食べようと歩いていたら『中華まん』って色んな種類がある事を知りました! お肉の入った「肉まん」 あんこの入った「あんまん」 ピザの入った「ピザまん」 エビチリの入った「エビチリまん」 チンジャオロースの入った「チンジャオロースまん」 … はい!!はい!!はーーーーい!!! ダウト~~!!!! はい、ダウト~!!見つけました~!!! おい!ピザまん!!!! お前、中華じゃねーじゃねーか!! 何、しれっと【ピザの入った「ピザまん」】とか言って中華まん面しんだよ! 僕は騙されないぞ!!! もしかして、ピザの起源は中国なのか?? と思ってWikipedia先生に聞いちゃったじゃねーか!!このやろー!! ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ 「じゃ、ココは?」 ヒザ!!! アウチ!!!オーウ!!オーノー!!!! 騙された!!!! この~!!!!!ピザ~!!!! 僕「てゆーかさ、お前はなんでそういつも何かと騙そうとするんだ!!」 ピ「・・・」 僕「中華まんといい、ヒザといい、何でなんだ!?」 ピ「・・・」 僕「おい!!ピザ!!お前に言ってるんだよ!」 ピ「・・・」 僕「ピザ!!聞いてんのか????」 ピ「いや、俺、ピッツァなんで。。。」 僕「くぅ~~~!!!!こいつ~~~!!!」 そんなこんなで、新年一発目の謎かけをしたいと思います。 【中華まん】とかけまして 【昆虫博物館】と解きます。 その、こころは どちらも【むし(蒸し)(虫)】が必要です。 新年もうまいこと言っちゃって!
------------------------------------------------------------------ 表紙の話 第18回 「農事組合法人下里ゆうき」
●池袋から1時間強で行けるオーガニックの里 オーガニックが盛んな町・埼玉県小川町。 下里集落は、自然のままのたたずまいを残すうつくしい槻川のほとりにある。 川が蛇行したU字の内側に、オーガニックの美田が広がっているのだ。 複数の生産者を含む集落全体が有機栽培を営んでいる例はとてもめずらしいという。 ここでは、米と麦の二毛作が行われている。 「農事組合法人下里ゆうき」は、有機栽培の生産者たちを横断する組織。 トラクターや乾燥施設や倉庫を共同所有し、堆肥も共同で作る。 たくさんの田畑をまとめて管理し、収穫や土づくりを一気に行うことで、生産効率を上げているのだ。 小麦は、それぞれの生産者がつながる、ベーカリーやマイクロブルワリーなど地元の飲食店に販売される。 個人と個人がつながりあって、自然環境を残し、食の安全を担保する取り組み。 もっと広がってほしいと思う。