特別講座 1国産小麦遍歴
(6)最終回 国産小麦を伝える
ラーメンを打つ「らぁ麺 飯田商店」の飯田将太さん、うどんを打つ「松ト麦」の井上こんさん、うどんもラーメンも打つ「うどんAGATA」の山縣浩和さん。 3人の国産小麦鼎談、最終回は「国産小麦を伝える」がテーマ。 この国に育った小麦から食べ物を作るすばらしさをどうやって伝えていくのか。 王道からコロナ禍に合わせた工夫までいろんなアイデアが飛びだしました。
結果なんかすぐに出ない。好きなら続けるしかない。
池田:国産小麦にもっとたくさんの人に取り組んでもらうには、どうしたらいいんでしょうか?
飯田:最初は佐野実さんも自家製麺じゃななかったんですが、山形の「味龍」で、地元の小麦で自家製麺したラーメンを食べて、「なんだこの麺!」ってなって、製麺所に電話しても「国産小麦なんて誰も使わないよ」って断わられまくって。「だったら自分が打ってやる」って。
池田:それが自家製麺をはじめるきっかけだったんですね。
飯田:最初はやわらかかったり、全然ダメっていう状態。でも続けたんですよね。一番最初にやる人って、結果なんかすぐに出ないと思うんですよ。損失だらけでも、好きなら続けるしかない。そのうち、井上さんがやってることとかを「私もやってみたいな」って人が1人出てきたら、そしたら倍になるじゃないですか。1が2、2が4、そこからいきなり25とか100になったりする可能性もある。ラーメン業界において先輩方もずっと痛手を負いながらやられてきて、今ラーメン屋の国産小麦率、自家製麺率も高くなってるじゃないですか。だんだん花開いてきてるのかな。
山縣:佐野さんや飯田君みたいな先導してる人がいて、突っ走ってるから、みんなあこがれだとか興味とか持つんですよね。
飯田:僕が先輩のこと「すげえな。俺もこういうラーメン屋になりたい」って思ったように、「こんなうまいラーメン作りたいな」って後輩に思わせたい。国産小麦もそれでいいと思うんですよ。「国産小麦、よくわかんないっす。飯田さんが使ってたから」で最初はいい。入口はとりあえず使う。でも「なんで」ってところをだんだん自分で考えだすと思うんで、そっからでも遅くはないですね。
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