小麦の風味– category –
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講座4小麦の風味 ⑦品種ごとの香りの個性って本当にあるんですか?
今回が最終回。成分分析によって得られた6つの品種ごとの香りの特徴を、官能評価の結果と比較することで、確かめていきます。官能評価をいっしょに行っていただいたのは、新麦コレクションの会員であるチェスト船堀の店主・西野文也さん。 西野さんは、ソムリエの資格を持ち、ワインテイスティングの訓練を積んでおられるので、さまざまな香りの表現を繰り出して、品種の特徴を言い当ててくださいました。 -
講座4小麦の風味 ⑥キタノカオリはなぜおいしいのか?
今回は、「キタノカオリはなぜおいしいのか?」を探求するお話。 分析結果からは、キタノカオリがいくつもの”甘くなる仕組み”を持っている国宝級の品種だということが見えてきました。クラムで比較するなら、キタノカオリとキタノカオリ全粒粉の2種に次いで多かったはるきらりと比べて約2.5倍も多いという驚異的な数値でした。 ここに「キタノカオリがおいしい」という根拠があります。 -
講座4小麦の風味 ⑤アミノ酸はパンのおいしさに貢献しているの?
今回は、味のお話です。 味というのは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のことです。 これらは、小麦の成分でいうなら、糖分とアミノ酸、有機酸などによって作り出されます。 これを舌にある味蕾が感じることで、味がするわけです。 そこで、液体クロマトグラフィで分析した、糖分とアミノ酸のデータを見ていきます。 製パンの常識とちょっと異なるおもしろいデータがえられました。 -
講座4小麦の風味 ④品種ごとの香りの個性を知りたい
「この化学成分があるからこの品種はこんな個性がある!」。今回はいよいよ、ひとつひとつの香りの物質に踏み込んで、品種の個性を解き明かしていきます。まずクラストの香りを決める加熱香気成分のほうから。 もっとも特徴をよく表すような香りを4つピックアップしました。そして、キタノカオリ全粒粉に特徴的な香りについて。発酵生成物(発酵によってできる香り)の品種ごとの特徴。そして、北海道産小麦になくて地粉にある香りとは……。 -
講座4小麦の風味 ③小麦の香りは製パンの工程を経てどう変わる?
小麦粉は、品種が変わっても、どれも同じような白い粉に見えます。 まったく同じ条件で発酵させても、だんだん異なる香りが出てきます。 今回は、パンの工程を追って小麦の香りを調べ、どこでどんなふうに品種の個性が花開くかを見ていきます。今回は6つの品種(銘柄)の小麦粉を分析しました。そして、ひとつの品種につき①イーストなし生地、②イースト生地、③クラスト、④クラムと4回、香りの成分分析しています。 -
講座4小麦の風味 ②小麦の香り成分ってどんなものがあるの?
前回、パンの工程の4つの段階で、生地を機械にかけ、分析を行ったということをご説明しました。 そこで出てきたすべての香り(味ではなく”香り”であることにご注意ください)は82種類ありました。 ちんぷんかんぷんかと思いますので(僕にとってもそうです)、さらっと見ていただいて、「82種類あったんだー」だけご理解いただければ大丈夫です。この82種類を、アルデヒド、フラン、ピラジン類、ケトン類、アルコール、酸・エステル類の6つに部類しました。 -
講座4小麦の風味 ①そもそも小麦の風味ってなんだろう?
「小麦の香り」「小麦の味」って、よく聞く言葉です。 でも、小麦の香りといっても、いろんな香りがあるし、かなり幅広い。 たとえば、バゲットひとつとっても、クラストの香りとクラムの香りはまったく異なります。 さらに、クラストの香りにフォーカスするなら、オーブンの中で焼いて、焦がして香りをつけていくわけなので、もともとの小麦粉の状態からずいぶん遠ざかっています。 今回、国産小麦6つの品種の味と香りを、その4つの段階で成分分析を行いました。
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