MENU
小麦ってどんな「生き物」かみなさんは知っていますか?
小麦生産者の前田茂雄さん(北海道十勝本別町・前田農産)、廣瀬敬一郎さん(滋賀県日野町・大地堂)に、
種播きから収穫までの小麦の生態について訊いてみました。
『科学のアルバム ムギの一生』(鈴木公治著、あかね書房)掲載の写真を見つつ、
種播きから収穫ま5回シリーズで小麦の一生を追います。
「生命」としての小麦に触れてみてください。

『科学のアルバム ムギの一生』

『科学のアルバム ムギの一生』

 鈴木公治著  あかね書房刊

紅葉の季節にたねをまき、雪の下で冬を越させ、梅雨の晴れ間に収穫。小麦の一年の姿を写真と共に紹介しています(全国学校図書館協議会選定図書、全国学校図書館協議会選定基本図書、日本図書館協議会選定図書、厚生労働省社会保障審議会推薦図書)。
著者の鈴木さんは、あとがきにこう書いています。

「冬のムギの根は、地獄の底までのびている。」  

ムギとつきあいはじめたころ、義父からきいた言葉です。大げさな表現ですが、寒い冬を生きつづけるムギにふさわしい言葉だと思いました。冬の間に、地中深く根をのばすムギを見て、むかしの人は、万感の想いをこめ、この言葉をムギに贈ったような気がします。

今回の講座は、この本から写真をお借りしました。

講座2小麦の一生 
①なぜ小麦農家は種を買うの?

一度や二度小麦畑に行ってもわからないことはたくさんあります。
そこで、小麦の一生を、生産者目線から学んでいきます。
第1回は、まず種を播く準備の段階、大事な「種」の話です。
有形泰輔シェフ(セテュヌボンニデー/NPO法人新麦コレクション理事)が抱いた疑問を、
前田茂雄さん(北海道十勝本別町・前田農産/NPO法人新麦コレクション理事)、
廣瀬敬一郎さん(滋賀県日野町・大地堂/NPO法人新麦コレクション理事)に答えてもらいました。
文=池田浩明

講座「小麦の一生」の先生

前田茂雄 まえだしげお

北海道十勝本別町、前田農産食品株式会社の4代目。東京農業大学農業経済学部卒業後、米国大学にて農業経営・流通を学び、大規模農業実習を体感。経営規模120haで、小麦5品種、甜菜、ポップコーンを栽培。生産者が自分のブランドで品種ごとに小麦粉を販売する草分け的存在。北海道小麦キャンプの運営や「ほんべつひまわり迷路」を開催するなど、地元の活性化にも取り組む。

前田農産食品株式会社

前田農産食品のウェブショップ
GPSを利用した肥料の管理など先駆的な栽培方法を実践。キタノカオリやはるきらりなど5つの品種のロール挽き小麦粉を販売。また、雪に覆われる農閑期の仕事作りをテーマにポップコーンをとうもろこしの生産から加工まで手がける。2023年第52回日本農業賞食の架け橋の部 奨励賞を受賞。

廣瀬敬一郎 ひろせけいいちろう

2000年に滋賀県日野町で、米や小麦を栽培する穀物農家として就農。ドイツからディンケル小麦(スペルト)を輸入、2007年に販売目的での生産にはじめて成功する。ドイツ製の最高品質の石臼で自家製粉して販売。「麦から育てるパン屋さん 大地堂」(現在休止中)を立ち上げた。日本における「農家パン屋」の草分けでもある。デュラム小麦の育種も行など、さまざまな先駆的な取り組みを行う。

大地堂

ディンケル小麦、ライ麦などを生産。ドイツ製の最高品質の石臼で熱をもたないように自家製粉して販売。少量ずつ製粉する事により、発熱が抑えられ、風味豊かな全粒粉に仕上げる。

質問する人

有形泰輔 ありがたたいすけ

駒場学園高等学校食物科卒業後、(株)ポンパドゥル入社、25歳で表参道デュヌラルテ入社、杉窪章匡氏(現365日オーナーシェフ)に師事。フランスでの研修を経て、2013年セテュヌボンニデー(神奈川・向ヶ丘遊園)のシェフに就任。2021年12月、自由が丘店を開業。
facebook

セテュヌボンニデー

instagramより
添加物や保存料を使用しないパン作りをモットーに、国産小麦のみでパンやお菓子を焼く。 ハムやベーコン、カレーやミートソースなども自家製。神奈川・向ヶ丘遊園で創業。2017年、隣にセテュヌボンニデー ベイクドカフェ、2021年には自由が丘店をオープン。

営業時間:9:00ー19:009:00
定休日:不定休(月に1日程度)
住所:〒214ー0014 神奈川県川崎市多摩区登戸 1889今野ビル1F
電話:044ー931ー6910

よい種と悪い種ってどうちがうの?

『科学のアルバム ムギの一生』(鈴木公治著、あかね書房)
よい種。よい種は中身がいっぱい詰まっていて太っている。
『科学のアルバム ムギの一生』(鈴木公治著、あかね書房)
痩せている悪い種。
『科学のアルバム 麦の一生』は、種を選ぶところからはじまります。

「たくさんのムギを収穫するには、まず、よいたねをえらばなければなりません」

『科学のアルバム 麦の一生』より
では、よい種とはどういうものなのでしょうか?
保護記事

ここからは、会員限定です。閲覧にはパスワードが必要です。

●講座「小麦の一生」は次回に続きます。