2026年2月号のメニュー
1 CICOUTEのA to Z 第24回 W 「Where are you going in 2026? ②」CICOUTE BAKERY 北村千里
2 2月の平山写真館 第3回 『MISO BOY』 SHŌPAIN ARTISAN BAKEHOUSE 平山翔
3 パンの交換日記 第3回 Pain de Randonnee 北海道東川町 福井明子さんとの往復書簡 CROFT BAKERY 久保田英史
4 畑からはじまるパン作り 第3回 「麦ふみ」C'EST UNE BONNE IDÉE! 有形泰輔
5 今月の新麦コレクション! 2026年度 総会・懇親会のお知らせ
*記事内容は、2026年月時点のものです。
1 CICOUTEのA to Z AからZまで愛おしいパンたちを語る連載 CICOUTE BAKERY 北村千里
第24回 W 「Where are you going in 2026? ②」

1月もあっという間に過ぎ去り
今年も早いんだろうな……と思いながらもう少しだけ年始の振り返りを。
大阪北新地の「LE SUCRÉ-COEUR 北新地」の閉店のお知らせ。
3月の閉店が近くなるほどに混み合うだろうなと、
お正月お休みのうちにと、ふらりとひとりで大阪へ向かいました。
北新地のお店ができてすぐのころにうかがって以来、
かすかな記憶を辿りながら方向音痴で
駅で挙動不審になりながらも無事辿り着きました。
パンとその奥の岩永歩さんの姿を拝見してほっとしました。

まだ娘も幼稚園小学生低学年の頃の夏休みは、
母の実家のある小豆島へ行くのが常でした。
ちょうど今の南大沢の店舗に移転して最初の夏休み、
3月のオープンからとにかく来てくださるお客さまに
必死にパンをご用意していた記憶があります。
以前の自宅兼の小さなお店よりは大きな店舗、
機材も入れ替え、イートインのスペースも設けて、
自分的にはとってもオープンでウェルカムなお店でありましたが、
来てくれる知人友人からは
「なんでここで??」とよく言われたものでした。
駅からは徒歩10分ほど。
以前の20分に比べたら半分。
駐車場もあるし商店街だし、
前の住宅街にひっそりあるお店よりは好立地と思っておりました。
とは言え、パンは以前のお店よりちょっとだけ多くあれば良いかな、
あとは新しく入れたオーブンやドゥコンで
以前よりもいろいろなパンに挑戦できる環境である!とわくわくスタートしたのですが、
思っていた以上のお客様のご来店。
待っていてくださった地域の方の期待感!
何をどうして良いかわからず、
とにかく毎日たくさんのパンをご用意しなければいけないと
思いつくものあれやこれやをわけもわからず焼いて
必死にお店に並べていたように思います。
ふと、
何をやりたかったんだろう。
そう思う日々が続いていました。
どんなパンが好きで、どんなパンをここで焼いていきたかったんだろう。
地域をパンで支えるって、どんなパンであったらいいのだろう?
根本にあるとっても大事なことを見失ってしまっていたのだと思います。


放心したような感じで迎えた夏休み、
雑誌で観て心がとてもわくわくした
大阪の岸部にある「ル・シュクレクール」さんへ立ち寄れないか?と
小豆島からの帰り道、夕暮れの頃にうかがいました。
あったパンはバゲットと「ラミジャン」というサワードゥのパン。
「これしか無いんですが。」とお店の方
「これが欲しかったんです!!」
帰り道の車の中で、とても幸せな気持ちで帰路につきました。
ラミジャンは「L’ami Jean」
友達のジャンさん、の意味だそうです。
先日の講習会で知ったのですが、この名前のお店のパンから
岩永さんがインスパイアされたそうです。
お店の方向を模索しながら出会いや想いとともに更新されていったパンです。
ラミジャンの香りと口溶けの良さと噛むほどに感じる深い味わい
こんなパンが焼きたい!!
そう、
こういう心に触れるような食事のパンが焼きたかったんだ、と心が震えました。
それこそ今は言わない「天然酵母」のパンがスタートにあって、
とってもマニアックな大きくて固い天然酵母のパン時代がスタートにあって、
いろいろ紆余曲折して小さく焼くパンやあんなのもこんなのもと
国産小麦と発酵種とでできそうなあれこれを焼いてみて、
でもやっぱり本当のところは
しっかりと焼き込まれたおおらかで身体にも穏やかな食事のパンが
何よりも焼いていきたいパンだったのでした。
道を見間違えそうだった時、
触れたのは岩永さんのパンでした。
そこから今までもお店もパンもいろいろとありましたが、
それだけはずっと心の奥の方で変わらずあるものでした。

久しぶりにお会いした岩永さんは、変わらず何にも誠実であたたかくて、
日々に向き合ってこられた面影もまた、今の岩永さんと今のお店でした。
記憶を辿ると
直接お会いしたのは、
「365日」の杉窪さんにお誘いいただいた会だったのでした。
孤独から少しだけ解き放たれたような特別な日でした。
先日東京で行われた「BELLOT」の岩永さんの講習会。
きっと講習会はもうされないかなと思います。
パンとの向き合い方、どんなふうにこれからありたいのか。
パンも、パンと向き合っていくこれからのことも。
とっても心地よいオープンな講習会でした。
リスペクトするパン屋さん皆さんが言う
「パン屋さんは本当に良い仕事」
わたしも日々そう思います。
迷っても行く先はきっといいところ、でありますように。
2026年、今年も作るひとに逢いに行きます。
行きたいところ、会いたいひとを訪ねる旅。
日々小麦と生地に向き合っている
全てのパン屋さんへリスペクトを込めて。
2 2月の平山写真館
SHŌPAIN ARTISAN BAKEHOUSE 平山翔
第3回 『MISO BOY』

なにも変哲のない、ひとつのバス停を写した写真。
路肩にはゴミが散らばり、それをついばむ鳩が一羽。
脇には、Alternative Newspaper の販売ボックスが置かれていて、自然と場所を連想させる。
そう、ここはサンフランシスコを走る MUNI バスの停留所。
近年では建物の色も変わり、そのボックスも撤去されてしまったらしい。デジタル化が時に寂しくもある。
誰にでも撮れそうでありながら、その時にしか残せなかった、「時」と「私」を写した一枚だと思う。
そして道路の向かい側に腰を下ろし、この写真を撮っている私は――
実は、世界的にも有名な、あのベーカリーのテラスでアーモンドクロワッサンを食べている。
訪れたのは、まだミッション地区の本店しかなかった頃。
雨の多い時期にもかかわらず店内はいつも人で賑わっていた。
数軒隣の小さなグロサリーストア、バイライトで野菜を買うチャドの姿を見かけ、店に戻ってから、拙い英語で緊張しながらも興奮気味に声をかけたことを覚えている。
確かル・シュクレクールの岩永さんがこちらで研修を終えた、少しあとのこと。
コペンハーゲンのリチャードハートがいたり、
サンディエゴのクリスタルホワイトがいたり、
きっと、そんな時代だった。
写真の中の景色は静かだけれど、
別れ際に味噌を手渡し、クロワッサンをかじり、
ただ街を眺めていたあの日の自分も、
この写真の向こう側に、そっと写り込んでいる。
3 パンの交換日記
CROFT BAKERY 久保田英史
第3回 Pain de Randonnee 海道東川町 福井明子さんとの往復書簡


二つの写真は、パンドゥランドネさんから送られてきたアソート。
北海道のほぼ真ん中に位置する東川町にあるパンドゥランドネ、福井明子さんからパンが届いたのは、一月の終わり際のことでした。
どっしりとして、濃い焼き色のパンたちの出生はとても明快。その多くは隣の美瑛町にある三浦製粉精米所さんが挽く、地元の生産者の小麦やライ麦の全粒粉を使う。
美瑛町・大波農場さんのスペルトや、東神楽町・吉原農場さんのキタノカオリや、旭川市・うけがわファームさんの春よ恋などなど。有機のもの、自然栽培のものもあれば、慣行栽培のものも使用する。
その選択基準は、知っている人が作っていること、産地がなるべく近いこと。その裏側には、気持ちの受け渡しがあり、関わる人が幸せであることをいつも想っているのが感じられる。
そういえば、昨年春に来日していたUKのDan Lepardは、自分でも自家製粉の石臼をもつけれど、殆どは地元の製粉所の挽く粉を使うんだよと話してくれました。
「僕は水車の動力で挽くあの製粉所が長く続いて欲しいから」と。
パンは足元の麦が最上の素材になりうる食べ物だけれど、それを挽いてくれる製粉所がないと、私たちはパンにすることができない。その公共性を理解し、使用することで支える大事さに気づかせてもらった瞬間でした。明子さんはそれを既に実践していて、その繋がりが彼女自身、自己を肯定して心身共に健やかに過ごすことにも叶っていると言う。
硬めのルヴァン種からもう一段柔らかめの種を継いで発酵に使う。シンプルな製法は、明子さんの選択した麦の風味をつよく感じさせてくれる。何も損なわれていなく、栄養以外にも口にする私たちに温かな何かを与えてくれる。一口ずつゆっくり食べたいと思わせてくれるパンでした。とかく物事はお金を基軸とした経済の話に偏りがちだけど、気持ちの受け渡しが中に込められている品は世の中にどれだけあるのだろう。シンプルなパンは誰でも作れるものではなく、明子さんの大事にしてきた生き方そのものでした。
明子さん、ごちそうさまでした。
Pain de Randonnee
北海道上川郡東川町3-16-25
@pain_de_randonnee

僕からのアソート
この項ではパンの往復便をしてくださるお店さんを募集しております。
よかったらお気軽に僕のInstagramのページへDM、もしくはcroftbakery@gmail.comまでお声がけくださいね。お待ちしております^ ^
4 「畑からはじまるパン作り」
C'EST UNE BONNE IDÉE! 有形泰輔
第3回 「麦ふみ」
今年の2月は、雪が降ったかと思えば25℃を超える夏日になるなど、
激しい寒暖差に驚かされる一ヶ月でした。
下旬のほどよく晴れた日、私たちは藤田農園さんへ「麦踏み」に行ってきました。
麦踏みとは、寒く霜が張るこの時期、浮いた麦の根を土に押し戻したり、
小麦の分げつ(茎の枝分かれ)を促進したり、
少し生育スピードを抑えたりする効果があります。
ローラー掛けが通常のようですが、私たちの携わる藤田農園さんでは、すべて足踏みです。
今年は雨が少なく、少し心配していましたが順調そう。
早速長靴に履き替えて、ふみふみ開始!
土はふかっと。
小麦はみしみし。

静かな畑で、皆の話し声だけが聞こえます。
栽培期間中農薬や化成肥料を使用しないため、気持ち雑草を抜きながら進みます。
(心ばかりの雑草抜きのお手伝い)
丘の上にあるので景色がよく、風もほぼなく、涼しいお天気。
麦踏みにはいい日になりました。
そして、圃場ごとに生育に偏りがありそれも面白いところです。
実は、今年から圃場ごとにサンプリングして、優秀な圃場や生育条件を探る試みを行う予定です。
「もっと使ってほしいけど、やはり高品質でないと広がらないよね」
藤田さんとそんな話になりました。
ほとんど作る人がいなくなった品種のユメシホウ、ましては近郊の小麦畑。
それを守るために、作り手側から品質面のフィードバックをしっかり行い、
より価値のあるものをお客様へ届けていきたいと思います。

2時間くらい踏み続け、春の収穫祭開催。
籠をもって、白菜・大根・ブロッコリー・菜花・金柑・夏みかんを収穫させてもらって終了です。
寒暖差が激しいと美味しくなる白菜(今年は出来がいいっ)は、
切り口から水が滴りそうなほどみずみずしく、ずっしり重い。
そんな重さを感じて、最後は夏みかんの強烈な酸っぱさにどこか懐かしくなったり。
次は6月の収穫に向けて見守るだけです。
その間も小麦の生育は見に行こうと思っています。
最近は、人手不足に陥ってしまい忙しい日々になっていますが、
藤田さんとの畑仕事はリフレッシュになりますし、
何より「しっかりその食材を受けとって、お客さんに届けないといけないな」そんな少し使命感みたいなものが生まれます。
やはり畑は私にとって、不真面目から真面目に修正してくれる場所のようです。
ユメシホウをメインで使用している当店のサワードウ。
新たな卸しの話も始まりましたし、また明日もしっかり焼いていこうと思います。
今回はこんなところでおしまいです。
お付き合いいただきありがとうございました。
今月の新麦コレクション!
2026年度 総会・懇親会のお知らせ
会員の皆様
いつも新麦コレクションの活動を温かく支えてくださり、誠にありがとうございます。 今年も「新麦」の輪をさらに広げていくため、2026年度の総会を下記の通り開催いたします。
今回は会場(代々木上原)とオンライン(Zoom)のハイブリッド開催です。 総会終了後には、皆様と直接親睦を深められる懇親会もご用意しております。
NPOの円滑な運営には、一人でも多くの会員様の声とご参加が欠かせません。 ご多忙の折とは存じますが、万障お繰り合わせの上、ぜひご出席いただけますと幸いです。
■ 2026年度 総会 概要
日時:2026年3月23日(月) 16:30 ~ 17:30
会場:ドーバー洋酒貿易
東京都渋谷区上原3-43-3
地図はこちら
https://maps.app.goo.gl/tj8xXsHotBQmHc2o8?g_st=
オンライン:Zoomにて配信予定(※URLは後日、参加希望の方へお送りします)
■ 懇親会のご案内
総会後は、会場を移して賑やかに語り合いましょう!懇親会のみの参加も大歓迎です。
時間:18:00 ~
場所:蒸籠味坊(セーロアジボウ)
代々木上原駅ビル内
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13275473/
会費:5,000円(飲み放題付き)
【ご注意】 キャンセル・欠席への変更は3日前までに必ずご連絡ください。それ以降のキャンセルは、お料理の都合上、飲食代を頂戴いたしますのでご了承ください。
■ お申し込み方法
出席をご希望の方は3月15日までに、お手数ですが下記フォームよりご回答をお願いいたします。 (※ご欠席の方は、フォームへの入力は不要です)
▼ 出席回答フォームはこちら https://forms.gle/bYGFsKdCPsUGmjFG9
なお、当日ご欠席された方には、後日「議事録書面」をメールにて送付いたします。 内容をご確認いただき、お返事をいただく形となりますので、何卒ご協力のほどお願い申し上げます。
皆様にお会いできるのを理事・事務局一同、心より楽しみにしております。 どうぞよろしくお願いいたします。
