講座2 小麦の一生
小麦は、生き物です。 種を播いて、芽が出て、葉と茎が伸びて、 花が咲いて、受粉して、実が膨らんで、 何ヶ月もかかって種になります。 その種を製粉すると小麦粉になります。 すごく当たり前で、自然なことのように思いますが、 おいしい小麦になるために、 なかなか大変な期間でもあるのです。 小麦生産者の前田茂雄さん(北海道十勝本別町・前田農産)、 廣瀬敬一郎さん(滋賀県日野町・大地堂)に、 種播きから収穫までの小麦の生態について訊いてみました。 『科学のアルバム ムギの一生』(鈴木公治著、あかね書房)掲載の写真を見つつ、 種播きから収穫まで5回シリーズで小麦の一生を追います。
講座2小麦の一生 ①なぜ小麦農家は種を買うの?
『麦の一生』は、種を選ぶところからはじまります。
「たくさんのムギを収穫するには、まずよいたねをえらばなければなりません」
では、よい種とはどういうものなのか?
当たり前ですが、私たちが食べている小麦=種。
種は、農協や農研機構、種苗会社などから買うケースと、前年度に収穫した小麦の一部を畑にまく自家採取があります。
自家採取するとき、どのように種を選ぶのでしょうか?
講座2小麦の一生 ②小麦の種はどう播くの?
小麦の一生を、生産者目線から追っていく講座。
第2回は、いよいよ種播き。
そして播いた種から芽が出てくるところも見てみましょう。
今回は久保田英史シェフ(CROFT BAKERY/NPO法人新麦コレクション理事)が抱いた疑問を、
同じくNPO法人新麦コレクション理事である前田茂雄さん(北海道十勝本別町・前田農産)、廣瀬敬一郎さん(滋賀県日野町・大地堂)に答えてもらいました。
講座2小麦の一生 ③麦踏みしないとどうなるの?
小麦の一生を、生産者目線から追っていく講座。
第3回は、冬場に行う麦踏みです。
今回は平山翔シェフ(SHôPAIN ARTISAN BAKEHOUSE/NPO法人新麦コレクション理事)が抱いた素朴な疑問に答えます。
冬になると、小麦は休眠し、地上での見た目の変化はあまりありません。
冬、麦踏みを行います。
麦は踏まれると、刺激によって分げつ(第2回参照)を行います。
もうひとつ、霜柱に備えるという目的もあります。
講座2小麦の一生 ④小麦も花が咲くの?
第4回は、春の訪れとともに、穂が成長し、花が咲く時期についてです。今回も、前田茂雄さん(北海道十勝本別町・前田農産)、廣瀬敬一郎さん(滋賀県日野町・大地堂)に教えてもらいます。本州で5月ぐらいに小麦畑に行くと、小さいくてかわいい白い花がちょろちょろっと出てるのを見ることがあります。実は、花びらじゃなくて「えい」っていうものだそうです。しかも、いっぺんに咲くわけじゃなく順番に咲いていくそうです。
講座2小麦の一生 ⑤雨に弱いなら、降る前に収穫すれば?
小麦の一生を、生産者目線で追っていく講座。
いよいよ第5回、最終回は収穫。
小麦の一生のクライマックスの「収穫」です。小麦にとって収穫期の雨は大敵。
よりによって、そのいちばん大事な収穫期が梅雨にあたる日本。
小麦の栽培に適してないという大きな弱点を持っています。海外は雨が降らなので、乾燥しきってから収穫しますが、日本の場合は梅雨があるので、早めに収穫して乾燥機で乾燥させているのです。