講座3グルテン/デンプン ①九州の小麦と北海道の小麦はどこがちがうの?
-パンストック平山シェフの疑問を科学で考えてみよう-
パン職人がパンを手作りするとき、五感を使って、小麦の個性に迫ります。
でもそれはあくまで”勘”や”感性”にとどまり、多くの人たちが共有することがむずかしいものです。
もし、職人の手が感じている感性の世界と、顕微鏡や染色体マーカーによってミクロの世界を見ている理論の世界とが出会ったら、いろんなことがわかりやすく言語化されるのではないでしょうか?
九州を代表するベーカリー「パンストック」の平山哲生シェフが、普段抱いている疑問を、育種に関わる遺伝子の角度から考えてみます。
平山哲生・ひらやまてつお
1975年福岡県生まれ。福岡〈パン・ナガタ〉を皮切りに、パリ〈グルニエ・ア・パン〉、東京〈ユーハイム・ディー・マイスター〉などの名店で修業(〈ユーハイム〉卒業後もパンストックに招いて講習会を催すなど志賀勝栄シェフとの師弟関係は続いている)。2010年、福岡に〈パンストック〉をオープン。店名と同じ「パンストック」という名のパン・オ・ルヴァンに代表されるような、高加水で、複数の発酵種を組み合わせ、複雑な風味とやわらかさとすばらしい口溶けを兼ね備えた新時代のパンで、衝撃を与える。「バゲットをたくさん焼きたかったから」との理由ではじめた、バゲット一本まるまる使った「明太フランス」は爆発的ヒット、看板商品に。九州ナンバーワンといわれる人気店に育てあげる。著書『パンストック 長時間発酵のパンづくり』(柴田書店)。
パンストック
2010年、福岡市箱崎にオープン。2019年、同市西中洲に「天神店」を開業。半円形の陳列棚にあふれるほどのったパンがスポットライトで浮かび上がる光景は圧巻。衝撃的にやわらかいパン・オ・ルヴァン「パンストック」を基本のパンとして、ジューシーなドライフルーツやナッツ、チョコレートを入れた派生商品を展開。長時間熟成の「19世紀バゲット」、高加水の超やわらかな「パンドミ」や、きび砂糖を使用したクリームパン「キビック」など人気商品は枚挙に暇がない。
パンストック 箱崎本店
〒812-0053 福岡県福岡市東区箱崎6丁目7−6
電話:092−631−5007
営業時間 10:00~18:00(日曜営業)
定休日 月曜・第1,第3火曜日
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九州産ミナミノカオリのクラストは
なぜ”バリっ”なのか?
地元・九州の小麦を使いつづけてきた平山さんは、以前からこんな疑問を抱いていました。
平山哲生さんの作るバゲットいろいろ
平山さんのInstagramを見ると、平山さんのパン作りの試行錯誤がいろいろ見えてくる。今回はバゲットだけをピックアップしてみた。いろんな小麦粉を使ってみたり、長時間熟成発酵をしてみたり、低温熟成してみたり、低加水にしてみたり……。
●講座3「グルテン/デンプン」は、次号に続きます。