講座4小麦の風味
①そもそも小麦の風味ってなんだろう?
NPO法人新麦コレクションは、国産小麦の風味について、埼玉県産業技術総合センター北部研究所と共同研究しました。
品種ごとに、味・香りの特徴を最新機器で成分分析。
とてもおもしろいことがわかってきました!
粉選びやお客様へのご案内の仕方が変わるかもしれません。
この講座ではその成果をなるべくわかりやすく発表してまいります。
埼玉県産業技術総合センター北部研究所
埼玉県内の法人から依頼を受け、技術的課題の解決を通じて、研究開発のサポートを行なっている研究所。
北部研究所は醸造研究所としてはじまったことから、発酵について多くの知見を持ち、また本州有数の麦どころである熊谷に位置することもあり小麦の研究についても実績豊富。
仲島日出男(なかじまひでお)
埼玉県産業技術総合センター北部研究所 食品プロジェクト担当
食品の風味や味の分析装置である「ガスクロマトグラフ」「液体クロマトグラフ」を駆使。
特に風味は、独自技術によって高感度での分析を可能にし、品種ごとの風味という微細な差異を分析することへの道を切り開いていただきました。
「埼玉県産硬質小麦の製パン利用技術の確立」、「麺製品の高付加価値化に向けた味・香り向上技術の開発」、「グルテンフリー米粉パンの風味制御技術の確立」、「フレーバー評価技術の確立による製品の高付加価値化と品質管理への応用、 -埼玉県産小麦粉について-」(共同研究を含む)など研究多数。
なんで小麦の風味を分析したの?
全国の小麦には、品種や気候のちがいによってさまざまな個性を持っています。
北海道の品種、本州各地の品種、九州の品種。
それぞれに個性があって、みんなちがってみんないい!
という思いがこうじてみなさまと新麦コレクションを立ち上げ、設立当初と比べて国産小麦に対する理解は相当進んだ! と自負しております。
しかし! キタノカオリとミナミノカオリのちがいは漠然とはわかっていても、どんな成分がどんなふうに関わっているか、みんながわかる形で(つまり科学的に)証明できていないなーと思っていました。
もしたしかな証拠があれば、「国産小麦ってこんなに個性があっておいしいんです」ともっと説得力をもってみんなに言えるし、それによっておいしい小麦を作ってくれる生産者が増えるかもしれないし、国産小麦を食べに飲食店に訪れる方が増えるかもしれない。
だから、誰かがやったほうがいいと思ったんです。
だったらそれをやるのが、国産小麦を愛し、誰よりも真剣に向き合っている新麦コレクションの務めだろうと。
ご協力をいただいたのが、埼玉県の熊谷市にある「埼玉県産業技術総合センター北部研究所」です。
熊谷は、昔から麦の栽培が盛んな土地。
北部研究所には小麦に関する長い研究の蓄積があります。
この研究所には、味や風味を成分分析できる最新の機器「液体クロマトグラフ」「ガスクロマトグラフ」があり、すばらしい感度で測定できる技術を持っていたのです。
埼玉県産業技術総合センター北部研究所の仲島日出男先生に全面的にご協力いただき、これから発表していく「国産小麦の製パン工程における味・香りの成分の変化」という研究が完成しました。
パンをサンプルにした研究ではありますが、ピッツァはもちろん、うどんやラーメンの方も参考になるかと思うので、おつきあいいただけると幸いです。