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第20回 T「tocoのパン」北村千里
(CICOUTE BAKERY・チクテベーカリー)

トコ(娘)に関するパンのお話

娘のトコ(杜香)は小麦アレルギーでした。
そうとも気づかずお食い初めは産休後、すぐにお店を再開したばかりもあって、バタバタと準備も出来ずでマロンスティックを切ってかじらせました。パン屋の娘だしこんなのもいいな、なんてその時は思っていました。
そうとも知らず、おやつにいちじくやナッツ、ドライフルーツの入ったパンのスライスを食べさせたこともありました。 
その後、フルーツもダメなものはダメだったと知りました。
まさかそうとは知らず、夫の実家での1歳のお誕生日会にリリエンベルグにお願いして作っていただいた魚の形のガレットデロア。なんでかぜんぜん食べないなあ、と思っていたら、ナッツアレルギーもあったのでした。その時は知る由も無し。。
デロアのダマンド。アーモンドプードルがだめだったと気がついたのはそれから何年もしてからのことでした。
産まれた時はちょっとだけ小さく産まれたけど普通の赤ん坊でした。とにかく生命力、燃えるようなエネルギー量を蓄えて産まれてきたようで、名前をつけた時の
「トコトコ、ゆっくり自分のペースで生きていってほしい」なんて笑えるぐらい、トコトコのスピードが3倍速くらいの有り余る熱量を持って生まれてきたのでした。
0歳の頃は喘息の症状がひどくても、持って産まれたエネルギー量なのかなんなのかよくわかりませんが、
なんだか苦しそう……と病院に連れて行くと大抵、
「なんでこんなになるまでほっておいたのですか!!」と先生に怒られることばかり。
元気過ぎてわからなかったのでした。
シュトレン真っ只中の12月に入院。仕事終わってヘロヘロでちょっと離れた車で片道30分ほどの病院まで面会に行くと、ベッドの手すりに掴まり立ちしてナースルームの皆さんに愛嬌を振りまいておりました。
0歳1歳のころはなんでも念の為、とすぐ入院となってしまうため、その後も数回の入退院を繰り返しました。
小麦やナッツのアレルギーがわかったのはそれから少ししてでしたが、パン屋さんお菓子屋さんの子によくあることのようです。
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